管理人のエステ体験日記

I 袋駅 : 某アジアンエステ
悲しき春 ~五千円洗体哀歌~

  • アジアン
  • 一般

 その日は余り時間がなかったのだ。

次の予定まで1時間30分。それでもサクッと一件いきたい。
そんな気分だったのだ。

リクルートスーツ姿が眩しい、うら若き女性がやけに目立つ電車に揺られ、降り立ったのはI袋駅H口。

40分5,000円の某洗体エステに電話すると、すぐに入れるとの吉報。

私の名前も聞かずに一方的に電話を切られ、若干不安を感じたものの、駅前の喫煙所で一服した後に予約した店に向かう。

先客が受付中。

新規の客のようで、根掘り葉掘りサービス内容を聞く先客。
「風俗店じゃないっすから~」適当にあしあらう男性従業員。が、なんだかんだ先客は入店する模様。

入口で突っ立ている私に気付いた従業員。

どうぞ~

「電話した者です。すぐに入れると聞いて来たのですが・・・」

えーっと・・・何分コースで?

「40分で」

えーっと・・・ 50分後ですね。
 


 
嫌な予感と云うものは何故こうも当るのだろうか?

愚痴は後だ、店を探せ。探せ。
街角にある牛丼屋の前で必至に携帯を操る。

残り1時間15分。

お気に入りの「E」に電話。

「すぐ入れますか?」

大丈夫ですよ。

(よっしゃ!)
「ちなみに誰が空いてるんですか?」

ルックス偏差値の高い同店ながら、どうしても以前から入る気がしない嬢の名前を告げられる。

う、う~~む・・・

ちと考えてから「また電話します」と電話を切る。

(今思えば嬢の名前など聞かず、贅沢言わずにフリーで入っていれば良かったのだ・・・)

意外に空いている店もあるなと店選びに欲が出てくると同時に、焦りからか無性に煙草が吸いたくなる。
わざわざ駅前の喫煙所まで戻り、一服。ふ~~っ。

残り1時間。

ニコチンのせいか、春のせいか・・・
「適当な店に飛び込んでみようかしら」と云う冒険心がふつふつと沸いてきた。

牛丼屋の方面に戻り、数多あるエステ店の電飾看板を眺める。

そいうえば、あのお店。
ちと気になっていたんだよなぁ・・・
 


 
エレベーターを降りると、いきなり「茶の間のセット」のような受付。
誰もいない。扉に付けられた鈴の音が虚しく響く。

「す、すいませぇ~~ん・・・」

何度目かの「すいません」で、現れたのは、もぐもぐと何かを咀嚼中の嬢。

「予約してないんだけど・・・」

はい、どーぞーと咀嚼を終えた何かを飲み込みながら受付に案内してくれる。

スレンダーでなかなかの美形。この嬢なら当りじゃないか。

パウチされた料金表を手に、80分はリンパがあって・・・
と云った説明をしてくれるも、時間が無いからと丁寧に遮る。

「40分の洗体で」

受付嬢は落胆した表情を隠しもせず、

「アカスリなら5,000円で40分だけど、洗体なら30分ね。ココには書いてないけど」

う、う~~む・・・

ま、しゃあないか。背に腹は変えられぬ。5,000円をお支払い。

薄暗い店内。受付の嬢に簡易間仕切りの個室に案内される
「少々お待ち下さい」と、嬢退室。

・・・

なかなか迎えに来ない。
嬢が着替えもアシストしてくれるかもと待っていたが、これは自ら服を脱いで準備をしたほうが良さそうだ。T型の紙パンツを履いてスタンバイOK。

・・・

まだかまだかと部屋をうろついていると、先の嬢とは違う大柄な嬢がようやくお出迎え。
なんだ。さっきの嬢が担当じゃないのか。だが若くてルックスは悪くない。
ミニのタイトなワンピースを着ている。大柄だけにムチムチである。

箪笥の角に小指でもぶつけたのだろうか?
何故か異様に愛想の悪いその嬢は、こちらから源氏名を聞いたところ「Y」とぶっきらぼうに名乗った。

さして広くないアカスリ(洗体)ルームに入る。
薄暗く淫靡な雰囲気。

穴開きのベッドにうつ伏せに。

泡を背面に垂らす嬢。
身体つきや態度はダイナミックながら、とてもソフトな手付きの洗体。

全く気持ちよくない。
さらには嬢の「嫌々やってます、だって仕事だもの」感が伝わってくる。
絶妙な手抜きに感嘆すら覚えはじめた頃、嬢はアカスリスポンジを投入。

ほほ~そう来たか・・・ってアカスリじゃないから10分短縮になるんじゃなかったっけ?!
やんわりクレームすると「アカスリいらないの?」と嬢。

どっちかっつーと、お前がいらないよ。

仰向けに。

・・・

まだ書く?面倒臭えぇよ、もう。
まあ、でも書くか。書くよ。書きますとも。

仰向けになってすぐ、泡を適当に撫で付けながら、嬢は早くも室内に備え付けられた時計を眺めだした。

私は既に諦めていた。

良い教訓だ。繁華街で飛び込みなんて無謀だったんだ。
それに時間の無い時に、無理にエステの新規開拓をしてもロクなことは無い。
それがわかっただけ、いやわかっていながらも、今度こそはと明るい未来を夢見るのはもう終わりにしようじゃないか・・・

泡に塗れた私は、そう自分に言い聞かせた。

あと10分程で永遠にアディオスする、不機嫌な、あまりに不機嫌なお嬢さんよ。
この気持ち、わかるかい?

「時間」

え?いくらなんでも早くない?

「○○分頃にお店に入ったから、もう時間」

(準備10分、施術10分、着替え10分で計30分でございますか。それに店に入った瞬間コース時間カウント開始方式ね・・・ってオイ!ならサクサクサクサク手際よく準備して早く案内しろってんだい!暇な癖に。客なんか他に誰も居やしねえじゃねぇか!!)

心の中で叫んだ。

まあ、もういいよ。さっさと泡を流してくれ。終わりにしようぜ。

「泡は自分で流して。このシャワー使って」

・・・

私が何をしたというのだ。
 


 
施術前後にお茶など出るわけも無く、速攻で着替えて退室。

担当嬢は見送りにも来ない。
受付の嬢が見送りに。

「あなたがママさん?」

私が訪ねると首を振る受付嬢。

最前の担当嬢に対する文句の一つも言おうかと喉元まで出たが・・・やめた。
きっと無意味だろう。

(私は受付時に何故、「あなたがしてくれるの?」とせめて一言聞かなかったのか。そう、受付の嬢も綺麗ながら、より良い嬢が出てくるのではないかとスケベ心で欲をかいたからだ。30分前の自分に説教をしたくなる)

・・・

理不尽だ。不合理だ。

たかが5,000円、されど5,000円である。
この街なら一時の刹那を味わうことも、ステーキや寿司を喰うこともできる。

それに5,000円前後で精一杯の施術をしてくれる所謂「激安アジアンエステ」だってある。
(激安店の優しき嬢達を思うと、涙が出るほど愛おしくてたまらなくなってくる)

この店が、もし低料金、短時間の客を袖にした対応をとると云う外道な方針で今回のような施術を推奨しているのであれば・・・エステへの冒涜だ。
 


 
遣り切れない気持ちでI袋駅に向かいとぼとぼ歩く。根がどこまでも未練に出来ている私は、こうなると最初に電話予約したにも関わらず飛び込み客を優先した某店を呪いたい思い。更には、ひょっとして今現在リアルタイムで泡に塗れ、とてつもなく良い気分に浸っているかもしれぬ罪のない初老の先客にさえ怒りが込み上げてくる。

デスペラートな気分で、駅前の喫煙所にて一服。

あぁ、電話予約した後に、ここで煙草なぞ吸わずに直行すれば・・・
飛び込み客よりも私の方が早かったのに・・・

いつまでも未練で小さい私を横目に、春の兆しに浮かれた、どこぞの連れ込み宿でメイクラブする前の腹ごしらえを楽しむのだろう、笑顔が眩しすぎる若いカップル達が颯爽と歩いていく。きっと事が済んだ後には、お互いの夢や将来についての話を咲かせるのであろう。

「愛が欲しい」

人に聞かれたら入院を勧められるかもしれぬ悲しき一言を、私は無意識に呟いていた。

 


 
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